みなさんこんにちは
はる歯科診療室、歯科衛生士の森です。
緊急事態宣言が解除されましたが、引き続き
3密を意識して第二波が広がらないように気をつけましょう!
今日は、「歯周組織再生療法」についてお話しします。
歯周組織再生療法とは、歯周病によって破壊された歯周組織を再生させる治療法です。
そもそも、歯周病は歯の土台である歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)に炎症が起こり、徐々に破壊される病気です(◞‸◟)
進行すると骨が溶けてなくなり、「骨欠損」の状態になります。
こうした症例に広く行われてきたのが「歯肉剥離掻爬(そうは)術(フラップ手術)」です。
文字通り、歯肉を切開し、はがしてひっくり返し、歯肉の下の歯周ポケットの深い部分に隠れている歯垢や歯石を機械的に除去します。
ただし、フラップ手術は病気の進行は止められても、骨は失われたままです。
フラップ手術の後、歯周組織においては手術後の回復のために、歯肉、歯根膜や歯槽骨からの細胞が増殖を開始します。
すると、一番増殖スピードが速い歯肉の上皮細胞がほかの組織のスペースに侵入し、再生を邪魔してしまうのです。
そのため歯周組織本来の構造と機能は復元されません。
そこで開発されたのが、フラップ手術のような「修復」ではなく、破壊された組織を元の状態に回復させ、機能を発揮させる「再生=リジェネレーション」を目指す治療なんです!
歯周組織はもともと代謝が活発で、うまく再生を誘導すれば、健康な状態に近いところまで回復が可能といわれています
歯周組織再生療法には、歯周組織再生誘導法(GTR)、エムドゲイン®︎ゲルによる再生療法、骨移植術があります。
1)歯周組織再生誘導法(GTR法)
(Guided Tissue Regeneration)
歯周病で溶けてしまった歯槽骨は、歯周治療を行っても歯槽骨が再生することは難しく、歯槽骨が自然治癒する前に、歯肉などが回復してしまい本来の歯周組織が再生されるスペースがありません。
というのも、フラップ手術後の創傷治癒は、4種類の組織由来細胞(歯肉上皮由来細胞,歯肉結合組織由来細胞,歯根膜由来細胞,骨由来細胞)が存在します。
このうち上皮細胞増殖が最も速く、歯肉上皮細胞が根面に沿って増殖侵入します。
つまり、歯槽骨が自然治癒により再生される前に、先に周りの歯肉が回復し、本来歯周組織が再生されるスペースを埋めてしまうんです:;(∩´﹏`∩);:
そこで、歯槽骨や歯根膜が回復するまで歯肉が入らないようにスペースを確保し、歯周組織の再生を行う治療法がGTR法です。
GTR法は歯周ポケット内部を歯石除去(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)した後、メンブレンと呼ばれる人工膜で歯周組織が再生するスペースを保護します。
人工膜の内側に歯根膜由来細胞を誘導し、歯周組織の再生を行います。
保護された歯周組織(歯槽骨・歯根膜)は、個人差はありますが1ヵ月に約1mm程度の速さで再生するといわれています(*^o^*)
2)エムドゲイン®︎ゲルによる再生療法
エムドゲイン®︎とは、スウェーデンで開発され製品化された薬剤です。
エナメルマトリックスという幼若ブタ歯胚の歯杯組織から抽出したタンパク質であり、これを歯周病治療に応用する事で、歯が発生する時と同じ環境を作り出し、歯周組織を再生できます。
SRP、骨整形を行った後に骨欠損がある部分にエムドゲイン®︎ゲルを塗布することで、エムドゲイン®︎ゲルの成分が歯根膜中の未分化細胞をセメント芽細胞、骨芽細胞および歯根膜を形成する細胞を誘導し、歯周組織の再生を誘導します。
歯周組織が再生することによって、歯周ポケットが改善されます。
そして、歯槽骨が再生され、歯の揺れも改善できます(^^)
3)骨移植術
自家骨移植、異種骨移植(ウシ骨由来のバイオオス、ボーンジェクト等)、人工骨移植(ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウムTCP、バイオガラス等)などがあります。
フラップ手術時に、GTR法やエムドゲイン®︎ゲルによる再生療法に併用して、臨床応用されています。
このように、歯周組織を再生させる治療法は研究が進み多くの薬剤などが開発されています。
しかしながら、どの術式にも適応症があります。
歯槽骨をたくさん失ってしまった後では、歯の保存は難しく抜歯になる確率が高いです。
やはり、歯周病にならないことが一番です!!
この、動画は歯周病になりやすい方について解説した動画です
是非こちらも参考になさってください(^ ^)
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https://m.youtube.com/watch?v=PQQZ9JAsSBw
普段からのブラッシングや定期健診、歯石の除去を行いご自身の歯を保存できるようにしましょう🦷
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